鈴木秀幸(工学研究科修了): ルノー奨学生留学体験記

フランス語で学ぶということ

鈴木 秀幸(工学部卒、工学研究科修士修了)

どこか、日本とは異なる環境で学ぶことに挑戦してみたい・・・

その思いで、留学を考えたのは大学院に入学してからでした。なかなかそれまで外国語に力を注いだことは無かったため、果たして気持ちだけで留学できるのだろうか?ということも考えていました。自分が興味を持つ分野で、長期間留学ができないだろうか?

こんなことを考えつつひとつの目標としてあがったのが、名大で募集されているルノー財団のプログラムにて学ぶということでした。そこに行きたいという一心で、大学でフランス語の授業を受講し始めました。大学院入学後に初めてフランス語に挑戦したものの、目標を持って授業に取り組むと、2〜3ヶ月のうちに検定試験で級をとれるまでになりました。その後勉強を続け、運良く「パリテック・ルノー財団理工学修士プログラム*」に合格することができました。

私が参加していたプログラムでは、唯一私が日本人の参加者でした。他には主にモロッコやブラジル、ルーマニアやレバノン、ペルー、ロシア、中国そしてイランなどなど、フランス語やラテン系言語、そしてその他の言語を使う国々からの参加者がいたので、みな使用言語はバラバラです。ですが、プログラムで用いられる言語がフランス語だったのと、他国からの仲間はフランス語が得意な人が多かったため、コミュニケーションは基本的にフランス語(あとは、仲間のお国の言葉を少々・・・)でとっていました。

そのおかげで、広く浅くではあると思いますが、プログラム参加者たちの国々の文化を互いに共有できたと感じています。これも、やはりプログラムに参加できたおかげであり、そしてそれを可能にしてくれたのは、フランス語をあきらめずに勉強し続けることでした。(ちなみに、フランス語を集中的に勉強することで、あまり英語の勉強はしていなかったのにも関わらず、TOEICスコアも留学前に比べて100点ほど上昇していました!)

さらに、留学先にはフランス語圏の国々から人が集まってきていたので、普段日本に居ても出会うことのできないような人たちと出会い、時間を共有することが出来ました。

ほかの国についてはあまり良く分かりませんが、いくらフランス語という言語を使っていても、多様性を互いに受け入れ合う国であるなと思いました。そのため、多くの移民の人がおり、様々な国の文化(主に食ですが・・・笑)を感じ取ることが出来た気がします。

もちろん、フランスで生活することで、フランス料理を食べる、歴史的建造物や美術品を見る、公園でゆっくりしつつ自然を感じる、気が向いたときにルーブル美術館にふらっと立ち寄る、などなど・・・といった日本では味わえないような経験もできました。留学前にはあまり日本でフランスを意識したことはなかったのですが、現地で実際に体験することで、人生を楽しむための要素が詰まった国だなぁ〜と感じることが出来ました。

また、ラテン系の国であるせいかいい加減なところもありますが、学業や仕事で集中するときは集中するなど、どのように密度の高いアウトプットを行うか?を学ぶことが出来た気がします。そして、この経験により、今後仮に外国で仕事をする機会があったとしても、やっていけるのでは。と思える自信がついた様に思っています。

日本は、いろんな国の文化の一部が集まってきて面白いですが、実際に自分で違いを感じることに興味のある方は、ぜひフランス語などの言語を勉強されてみてはいかがでしょうか。やはり、言葉がわかるとわからないとでは、自分で得られる情報量がちがいますし、面白味が増すはずです!きっと、物の見方が変わるぐらい、視野が広がると思いますよ!

 

写真は留学中に通った L’Ecole des Ponts ParisTech. パリの東部近郊にある。

鈴木秀幸(すずき ひでゆき)
2003年 名古屋大学工学部機械・航空工学科入学。
2007年 同大学院工学研究科航空宇宙工学専攻入学。
2008年9月 リヨン第三大学へ留学(名大との交換留学**)。
2009年 パリテック・ルノー財団「交通と持続可能な発展」理工学修士課程 Master ParisTech-Renault Foundation in Transport and Sustainable Development* に入学。交通システムや環境工学について学ぶ(授業はフランス語を使用)。
2010年11月 フランス語による論文を提出するなどし、上記修士課程を修了。名古屋大学大学院工学研究科復学。
2012年3月 工学研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了。
現在、日系自動車部品メーカーにて勤務。

* 名古屋大学留学生センターのルノー財団による奨学金付きプログラムについてのページを参照のこと。
** 同じく留学生センターの交換留学プログラムのページを参照のこと。

(2012年8月30日公開)