「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2013」 La Folle Journée au Japon 2013

今年度初めての投稿になります。私事ながら娘がこの4月から小学1年生になり、親子共々あわただしい日々を送っているのですが、これからも皆様に楽しんでいただける内容を少しでも多くご提供できるよう頑張ります。

ゴールデン・ウィーク中の5月3日(金・祝)から5月5日(日)まで、東京で「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭 2013」という音楽の祭典が開かれます。期間中は、会場となる東京国際フォーラムと丸の内周辺エリアに世界中から多くの一流アーティストが集まり、この3日間、連日朝10時から夜11時頃まで白熱した演奏を披露します。

この音楽祭は、もともとは1995年にフランス北西部のナントNantesという港町で誕生しました。「一流の音楽を1500円~3000円という破格の低料金で楽しむことができて」しかも「一つのの演奏時間は約45分(CD1枚分くらいの長さ)と短めで」「朝から晩までコンサートをハシゴできる」といった、クラシック音楽の常識を覆すようなユニークなコンセプトに貫かれていて、これまでのクラシック音楽=敷居が高いというイメージを見事に払拭しています。良質の音楽を気軽に、マイペースで楽しめるという新しいクラシック音楽の祭典です。

東京では2005年に第1回が行われ、今年は第9回になります。東京では2007年に来場者数が100万人を超え、2012年までに延べ526万人の来場者数を記録して、今日では世界最大級の音楽祭に成長しました。さらに日本では、2009年に金沢、2010年に新潟と滋賀(びわ湖ホール)、2011年には佐賀県の鳥栖(とす)でも開催されて、いずれも大成功を収めています。

この音楽祭では毎年テーマが設けられていて、2013年の東京、金沢、滋賀のテーマは「パリ 至福の時」に決定しました。東京のラ・フォル・ジュルネでフランスの作曲家たちが紹介されるのは実は今回が初めてで、日本ではかつてない規模のフランス音楽の祭典になりそうです。ビゼーからドビュッシー、ラヴェル、サティを経てブーレーズに至る、19世紀後半から現在までのフランスの作曲家たちに、20世紀初頭にパリで活動したスペインの作曲家たちも加わって、この150年間にパリを彩った音楽のパノラマが繰り広げられます。なお「至福の時」 L’heure exquise という言葉は、19世紀後半のパリを代表する詩人ポール・ヴェルレーヌPaul Verlaine の「白い月」La lune blanche という詩の一節から採られています。

公演数は約300もあるので、楽しみ方もいろいろあります。例えば(1)メジャーな曲からほとんど演奏されない珍しい曲まで、とにかくたくさんの曲を聴く、(2)同じ曲を違う演奏家で聴き比べする、(3)同じ曲を違う編成や違う楽器で聴く、などです。また「0歳からのコンサート」というイベントがあって、このラ・フォル・ジュルネ音楽祭の一つの名物になっています。ほとんどのコンサートは「3歳未満の入場不可」となっているのですが、この「0歳からのコンサート」だけは文字通り「0歳より入場可」となっています。これは、小さな子供にも子供向けでない本格的なコンサートを楽しんでもらって、音楽を愛する大人に成長してもらいたいという願いを込めて開催されているものです。そしてこのコンサートでは、たとえ子供が演奏中に泣いたり騒いだりしても、指揮者も演奏家たちも聴衆もそれを寛大な心で温かく受け入れるということになっています。そのため、赤ちゃんを連れたお母さんたちに大人気で、毎年会場前にはベビーカーがずらりと並びます。

この音楽祭はゴールデン・ウィーク・シーズンの東京の新たな風物詩となっていて、今年は約48万人の来場者数が見込まれています。ですので、名古屋からは少し遠いかもしれませんが、ご関心のある方はぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか。

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2013」の公式サイトはこちらをどうぞ。(2013.4.30-2013.5.2)

カテゴリー: フランコフォニーの手帖 Les cahiers de la Francophonie (par フランス語科教員) タグ: , パーマリンク