アドベント Avent

「アドベント」 Avent というのはキリスト教でイエス・キリストの誕生を待つ期間のことです。日本語では「待降節(たいこうせつ)」とか「降臨節(こうりんせつ)」と呼ばれます。正確には、フランスを含めた西側の教会では、11月30日に最も近い日曜日(11月27日~12月3日の間の日曜日)(今年は12月2日)からクリスマスイブまでの約4週間と決められています。

この時期にはフランスのお店ではアドベントカードというものが売られます。これはカレンダーの形になっていて、アドベントの期間中にカードに作られた窓を毎日一つずつ開けていくというものです。そして、全部の窓を開け終わったとき、クリスマスを迎えたことを教えてくれるという仕掛けになっています。

また、このアドベントの頃になると、フランスでは様々なクリスマスの飾り付けが始まります。フランスではクリスマスの飾り付けに欠かせないものとして、クリスマスツリーの他にクリスマスリースとクレッシュがあります。クリスマスリースと言うと、日本では玄関のドアにかけるものをイメージされる方が多いかもしれませんね。こういったものはフランスでは couronne de Noël (クリスマスの冠) と呼ばれていて、それもよく見かけるのですが、それ以外に特にフランス北部には couronne de l’Avent (アドベントの冠) と呼ばれるものもあって、これは天井から吊るしたり、テーブルや家具の上に置いたりするのが伝統的な形になっています。そこにロウソクを4本立てて、日曜日ごとに1本ずつ火を灯していって、4週間後にクリスマスを迎えるというわけです。(正式には、一番初めの日曜日には1本のロウソクに火をつけて、しばらくしたらその火は消し、次の日曜日には一度燃やしたロウソクと2本目のロウソクにも火をつけるというふうにして、クリスマスには4本とも火を灯すということになるのだそうです。) なお、クリスマスリースに立てるロウソクの色は、フランスの伝統では光と火を象徴する赤が一般的です。

一方、クレッシュ crèche というのは、人形などを使ってイエス・キリストが誕生した場面を再現した模型のことです。クリスマスの時期のフランスでは、教会の中や街角に設置されたクレッシュを目にすることがよくあります。また、自宅で飾るためのセットもお店で売られています。名大の近隣では、南山大学構内の図書館前の花壇を挟んだメインストリート沿いに、ほぼ等身大の人形を使った大変立派なクレッシュが飾られています。(その傍らの解説によれば、イタリア語では「プレゼピオ」 presepio と言うそうです。)

私の家でも、先週末5歳になる娘と一緒にささやかなクリスマスツリーを飾って、クリスマスを迎える準備をしました。外は吐く息が白くなるほど寒いのに、誰もが不思議と暖かな思いに包まれるこの季節が私は大好きです。皆さんも大切な人とどうぞ素敵なクリスマスをお過ごしください。(2012.12.10-2012.12.14)

カテゴリー: フランコフォニーの手帖 Les cahiers de la Francophonie (par フランス語科教員) タグ: , パーマリンク