『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2013』 Guide Michelin 2013 : Tokyo et Shonan ont 15 restaurants trois étoiles

フランスのタイヤメーカーであるミシュラン社が、12月1日(土)に『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2013』を発売しました。それに先立って、11月28日(水)には今回星を獲得したレストラン名が公表され、三つ星を獲得したレストランのオーナーやマスコットキャラクターの「ムッシュ・ビバンダム」 Monsieur Bibendum (イラストはこちらをどうぞ)がステージに登場する PR イベントが都内で開催されました。

ミシュランガイドとはミシュラン社の発行する旅行ガイドブックのことです。赤い装丁のレッド・ミシュラン Guide rouge と緑の装丁の Guide vert とがありますが、看板商品になっているのはレッド・ミシュランの方です。このレッド・ミシュランはレストランやホテルを星の数で格付けすることで有名で、「一つ星」は「そのカテゴリーで特に美味しい料理」、「二つ星」は「遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理」、「三つ星」は「そのために旅行する価値がある卓越した料理」と定義されています。一方、グリーン・ミシュランはレッド・ミシュランよりも一回り大きくて、地域の歴史や地理や名所旧跡についての詳しい解説が載っているガイドブックです。

ミシュランガイドは評価における公正・中立・客観的な立場を守るため、広告非掲載に加えて、評価対象に対しては匿名調査を基本としています。食事の代金も調査員が全額支払います。またそれとは別に、調査員が自らの身分を明かしてレストランやホテルのシェフやオーナーに関するヒアリング調査を行う「訪問調査」もあり、この両者を組み合わせて最終的な評価が行われるそうです。

日本に関するミシュランガイドが最初に出版されたのは2007年のことでした。(『ミシュランガイド東京2008』) このガイドブックはアジア初のミシュランガイドとして約30万部を売り上げ、掲載されたレストランでは発売の翌日から電話が鳴りっぱなしで、すぐに半年先まで予約でいっぱいになるなど大きな話題になりました。また、そのときに東京のレストランが獲得した星の総数が191個で、ミシュランのおひざ元パリの97個を大きく上回ったため、海外からも注目されました。その後、この「東京版」は年を追うごとに都内で調査対象地域を広げ、2010年には鎌倉地域が加わって「関東版」となり、昨年それが湘南エリアにまで拡大したのです。なお、日本に関するミシュランガイドでは、2009年から京都や大阪などを扱った「関西版」の出版も始まったほか、今春には『ミシュランガイド北海道2012特別版』も出版され、来春には『ミシュランガイド広島2013特別版』の出版も予定されています。今後「東海版」が出版されるかどうかは分かりませんが、少し期待したいと思います。

さて、今回の『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2013』では全部で242店のレストランが星を獲得し、三つ星を獲得した都内の店数は昨年より2店減って14店となったものの、その数は一昨年、昨年に続いて世界最多でした。また、三つ星を獲得した15店(湘南の1店を含めて)の内訳は13店が和食、2店がフレンチというものでした。今回の嬉しい変化は、一人当たり5,000円以下でランチやディナーが楽しめる星つきレストランを示すシンボルマーク(コインマーク)の付いたお店が4割以上に増えたことと、世界ではじめて韓国料理のお店が登場したことだそうです。(二つ星が1店と一つ星が2店の計3店です。) お値段は1冊2,520円ですが、旅行ガイドブックにしては少しお高めでしょうか。

私の数少ない趣味の一つは妻との食べ歩きで、美味しいレストランの情報を集めてはあちこち開拓するのが好きです。ただ、今回のミシュランガイドの中身を見る限り、三つ星のレストランはほとんどが都内の麻布や六本木といった高級オフィス街や高級セレブ街に集中していて、薄給の大学教員にはどうにも手の届かない世界のようですので、当面はインターネットのグルメサイトやグルメ雑誌で紹介されているリーズナブルなお値段のお店で存分に楽しもうかと思っています。(2012.12.03-2012.12.07)

カテゴリー: フランコフォニーの手帖 Les cahiers de la Francophonie (par フランス語科教員) タグ: , パーマリンク