フランス語を履修した名大生が参加する「ストラスブール短期フランス語研修」の第1回目が2014年2月~3月に行われ、極めて成功裏に終了しました。その記念すべき第1回目の参加者15名の中から、5名の方が体験記を綴ってくださいましたので、そのうちの2名分を以下に掲載いたします。(残りの3名分は(2)に掲載) 様々な学部からこの研修に参加された方たちの生の声をぜひご一読いただき、特に学部の1、2年生の方たちは2015年春の参加をお考えになってみてください。
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フランス語研修に参加して
医学部医学科2年 平松成美(2013年入学)
私は言語文化Ⅰで1年間フランス語を勉強した後、1年生の終わりに研修に参加しました。ここで研修に参加して経験したことを簡単に述べようと思います。
まず研修に参加しようと決めた理由ですが、実際にフランスを訪れて文化に触れたり、フランス語を使ったりすることに興味があったからです。ここで医学とフランス語の関連は?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん自分の専門に即した目標を立てて臨むことも大切でしょうけれど、私は1年生で時間のあるうちに、興味があって体験できるものはとにかく体験しておこう、という考えから参加しました。
現地では期待通り、大聖堂や伝統的な家屋、現地のご家庭や学生との交流など、日本にいては見られないアルザス地方の文化に触れることができました。また2週間という比較的長い期間、ストラスブール一所に滞在したため、そこでの日常に浸ることができました。たとえばフランスでは日本よりも、お店に入ったときなど、初対面の人に挨拶をする頻度が高いですが、海外に行くといつも極度に委縮してしまっていた私は、いざ現地で過ごしてみると予期した以上に外でコミュニケーションを取れるようになりました。ほかにもトラムでの通学など、海外旅行ツアーで1、2日滞在しただけではわからない、ストラスブールでの日常生活を体験できて面白かったです。
そしてフランス語の授業について、私たちは大体半日をストラスブール大学でのフランス語の授業で過ごし、残りの半日を市内見学に費やしていました。現地の人とはほとんどフランス語で話さなければなりませんし、授業もほぼフランス語で行われましたから、耳はほんの少し慣れましたが、1日3時間、2週間の授業ではやはりフランス語全体のレベルはあまり上がりませんでした。しかしそれが刺激になって、帰国後もフランス語を勉強する意欲が出ました。今も中級フランス語の授業を取ったり、NHKのラジオ講座を聞いたりして、勉強を続けていくつもりです。
フランス語研修に参加して、私はこのように多くのことを経験することができました。これらのことが専門に関連するかどうかは別として、将来きっと何かの助けになると信じています。最後に、有意義な経験をさせてくださった先生方、職員の方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。そして、次回研修の参加を検討中の1,2年生の人にはぜひとも研修参加をお勧めします!
語学研修を終えての考察
工学部 物理工学科 量子エネルギー工学コース 2年 佐藤和也(2013年入学)
ストラスブールに行った。私がこの研修に参加しようと思ったのは、フランス語を話すことができたらかっこいいという憧れに加えて、私が自転車好きである故、ツール・ド・フランスのフランス語解説を聞き取り、理解できるようになりたいという、どちらも私欲のためだ。 フランスという異国に到着すると早速、様々なカルチャーギャップを感じた。電車の駅に改札が存在しない。安全であれば歩行者は赤信号でも横断歩道を渡る。いい加減だと思われるところが散見された。しかしよく見てみると安全の確保はしっかりしている。横断歩道の例でいうと、安全をしっかり確認せずに信号だけを守る日本の方が危ないのではないかとも思えた。なるほどこれがフランス人の合理性というものか、と納得したのを覚えている。 研修における最大の収穫は、言語を学ぶ意味と意義をはっきりさせることができたということだ。フランス語を勉強し語学として上達したことは、たとえばレストランであったり、駅の切符売場であったりと様々な場面で実感した。前述したが私は言語としてのフランス語にしか興味がなく、それの習得だけに躍起になっていた。言語の習得そのものが私にとっての目標でありゴールであった。乱暴な言い方をすれば、聞いて話せて書ければ満足だ、ということだ。しかし、フランス語によって現地の文化や習慣、価値観を知ることで自身の見識を広げることができた。おもしろいと思った。また異国の人たちの考えを言語によって共有できた。私は嬉しさを感じた。言語は人と人とをつなぐ数少ないツールの一つであり、言語を学ぶことはより多くの人の考え方を知ることにつながる。それを繰り返していくうちに物事の見方が多角的になり、その思考の仕方がときに発見やひらめきを生み出すことにつながるのではないかと研修を通して考えるようになった。それはとりわけ科学の方面において重要なことではないだろうか。このことは数年後の私にとって必要不可欠なものとなるはずだ。
研修を終えた私には新たな目標ができた。それは海外の研究インターンシップに参加するというものだ。スイスの欧州原子核研究機構(CERN)をはじめ、特にフランスとその周辺のヨーロッパには量子物理の研究に関して秀でた研究所や大学が存在する。そこで私はその分野について学び、同じく学問する人達とともに量子物理について(言語は何であれ)語り合いたい、これが目下の目標である。
* このページの上部の写真はストラスブールの欧州議会(奥の建物)