フランス語を履修した名大生が参加する「ストラスブール短期フランス語研修」は、名大国際部が実施主体となり、フランス語科が協力して2014年2~3月に成功裏に終了しました。ただ、多くの希望者が集まったため、残念ながら希望者全員に参加してもらうことはできませんでした。(研修は2014年度以降も継続して実施される予定ですが、今後の参加者の決定方法はまだ決まっていません。)
研修に参加できなかった人たちの一部はフランス旅行に切り替えました。以下にそうした人たちの旅行記を三つ掲載します。
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工学部3年M.M.君
2014年2月にパッケージツアーに参加してイギリス(ロンドン)とフランスを旅行。ツアー、フリータイムを通して訪れた主なところは次のとおり。ロンドン(大英博物館、オックスフォードサーカス、ビッグベン、キングクロス駅)-(ユーロスター)->パリ(夜景バスツアー、ルーヴル美術館、シテ島観光、モンマルトルなど)->モンサンミシェル->パリ
イギリス・フランス旅行記
工学部3年 M.M. (2012年入学)
私は2年生の秋に名大のフランス語研修に応募しましたが、希望者が多く、抽選に外れてしまい、その時は非常に残念に感じました。ですが頭を切り替え、旅行サイトで調べてみたら、イギリス、フランスの面白そうな旅行プランがありました。そこで旅行代理店に行って詳しい情報をもらい、旅行を実現させました。飛行機に乗るのは2度目、海外旅行は初めてでした。いつかは行ってみたいと思っていた場所に行け、旅行はとてもよかったです!
最初の訪問地ロンドンでは大英博物館に行きましたが、そこでは、小さいものですが実際の展示物に触らせてもらえました。見ただけじゃわからない、重さや質感が感じられとても貴重な体験でした。
イギリスからフランスへはユーロスターで入りました。海を隔てた両国が列車で結ばれていることには率直に感心しました。英仏海峡トンネルの掘削事業には日本も参加したと聞いています。
フランスで印象に残ったことは、第一はルーブル美術館です。写真でしか見たことのない作品を生で見ることができ、またそれらの作品を間近で見られたからです。次に印象に残ったことは、地下鉄の車内で楽器を演奏している人を目撃したことです。日本の電車ではあり得ない光景でビックリしました。モンサンミシェルもすばらしかったです。
モンサンミシェル上部にある回廊、修道僧の瞑想の場だったという
(モンサンミシェルの全景は次の旅行記に添付の写真を参照)
パリの酒屋ではワインを買いました。つたない英語(残念ながらフランス語ではなく)でしたが、店員さんと会話しワインを選んでもらったことで、ちょっと達成感を味わえました。
とはいえ、旅行に行き、もう少し語学力があればなあと思いました。もちろん、大英博物館やルーブル美術館など施設には日本語の説明やオーディオプレイヤーのレンタルがありましたが、レストランのメニューはなんとなくしか読めませんでした。
実はもう一つ印象に残っていることがあります。ロンドンで財布をすられてしまったのです。パスポートや現金のほとんどは別にしていましたが、クレジットカードが入っていたので止めなければなりませんでした。ホテルの方に相談したところ、とても親身に助けてもらえ、無事止めることができました。さらに、帰国後のことですが、財布が在英日本大使館に届けられ、現金はありませんでしたが、それ以外はすべてそろってもどってきました。スリが多いのは残念ですが、人の親切にもふれることのできた旅行でした。
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文学部2年M.N.君、R.H.君
二人を含む四人でパッケージツアーに参加。旅程は次のとおり。ロンドン->コッツウォルズ地方、ストーンヘンジ、ポーツマス(以上、イギリス)->サン・マロ(以下、フランス)、モン・サンミシェル修道院->ロワール河流域の城(シュノンソー、シャンボール)、ベルサイユ宮殿->パリ
イギリス・フランスの旅行記
文学部2年 M.N. (2013年入学)
僕ら文学部フランス語選択の4人は、(2014年の)春休みの8日間を使って、イギリスとフランスを回る旅行に行きました。元々は、大学で提供されたフランス語語学研修に応募したのですが、大変人気だったため抽選で惜しくも外れてしまい、それでもフランスに行きたいと思ったため、個人的にパック旅行を申し込みました。多少費用はかかりましたが、イギリスにも強い関心を持つ友達がいたので、良かったと思います。
僕はそもそも飛行機に乗るのも初めてだったので、緊張しましたが、ロンドンのヒースロー空港へ向かう機内は、飲食やAV機器のサービスが充実しており、12時間のフライトも全く苦になりませんでした。
イギリスで感激したことが2つあります。1つ目は、有名な作品・建築物を見ることが出来たことです。ロゼッタ・ストーンの現物を展示している大英博物館や、バッキンガム宮殿、ウェストミンスター宮殿といった名所を訪れました。どれも迫力ある壮大な建物で、圧倒されました。フリータイムには、シャーロック・ホームズ博物館を訪れ、再現されたホームズの部屋や、作中人物を作った蝋人形を見ました。2つ目は、景色が日本と全く違うことです。イギリスには羊・牛・馬などの放牧地帯が多く、ロンドンの外に出れば地平線を見ることも容易いです。コッツウォルズという田舎町では、自然と古風な建物が調和した、幻想的な景観を楽しめました。
フランスでも、多くの名所へ行きました。旅行のプランにて、モンサンミシェルやヴェルサイユ宮殿を訪れ、ロワールの古城めぐりもしました。観光地として人気のモンサンミッシェルですが、修道院だけあって、想像以上に厳かな雰囲気の場所でした。
ヴェルサイユ宮殿には、当時の王族の居室が再現されており、絢爛豪華な生活を送っていたことが嫌でも分かりました(笑)。フリータイムには、ルーブル美術館やノートルダム大聖堂、シャンゼリゼ通りなどに行きました。
ルーブル美術館では、高校の教科書で見た作品を、自分の眼で直に見てきました。代表的な作品を挙げると、『モナ・リザ』や『ミロのヴィーナス』、『ハンムラビ法典』や『民衆を率いる自由の女神』といったところですが、本当に沢山の作品があり、全部見るには一週間以上かかりそうなほどです。僕らはそこで、実に贅沢な時間を過ごしました。
夜には、凱旋門に登って屋上からライトアップされたエッフェル塔を見るという、これまた贅沢な体験をしました。しかも毎時5分間だけイルミネーションがキラキラ瞬く「シャンパンフラッシュ」が見られて、とても良かったです。是非ご自分の目で見てみて下さい。
最後に言いたいことは、イギリスの人もフランスの人も、親切で礼儀正しい人が多かったことです。僕らが日本人観光客だったためかもしれませんが、皆いかなる時でも挨拶をし、店員さんも丁寧に対応してくれました。そういう時、十分なコミュニケーションが出来ないと困るし、恥ずかしく思います。海外へ行ってみて、言語能力の大切さを初めて実感出来たように思います。
ハンムラビ法典
ロンドン・パリ旅行記
文学部2年 R.H. (2013年入学)
我々4人が初めてのヨーロッパ旅行に向けて出発したのは2月26日のことだった。そもそも筆者の友人はロンドンにはあまり見るべきものはないというようなことを言って、むしろローマのようなもっと華々しいところへ行きたがったのであるが、ロンドン滞在中の計画を筆者が立てることを条件に皆了承してくれたのだった。
空港でのすったもんだや機内での出来事は省略して、ロンドンでの出来事だが、滞在は1日半であり移動なども含めると実質的に1日しか自由な行動時間はなかったのである。さらに午前中はツアーが入っていたので我々が好きな場所に行くことができたのは半日くらいなものであった。さて、ツアーではウエストミンスター寺院や大英博物館を見て回った。残念ながらバッキンガム宮殿の衛兵交代式は日程が合わずに見ることができなかった。そしてザ・シャードである。2012年に新たにロンドン市内に誕生したこの巨大建造物に登れば、テムズ川やレンガ造りの家々がいかにも「イギリスである」と主張しているようで、とても良い眺めであった。
続いて午後からの自由時間にはシャーロック・ホームズ博物館に向かった。この偉大な探偵のことは名前だけなら誰でも知っているはずである(余談だが、筆者はホームズの大ファンで、実はロンドンに行きたかったのも博物館が一の目的だったのである)。ちなみに、友人の1人には出発前に少しでもホームズに興味を持ってもらうためにもホームズの小説を数冊貸してあったのだが、結局彼はそれらを読んでこなかったし、未だに返してもらっていない。筆者以外はそれほどホームズに詳しいわけではなかったが、それでも友人の1人は鹿撃ち帽を買っていたし、展示物の人形や小物が充実していたこともあって、楽しんでもらえたのではないかと勝手に思っている次第である。
次の日はロンドンを出て、バスで一路ポーツマスに向かった。ポーツマスからフェリーに乗ってフランスまで行こうというのである。途中、ウィリアム・モリスが「イギリスで最も美しい村」と称したバイブリーと「コッツウォルズのヴェネツィア」と言われるボートン・オン・ザ・ウォーターに立ち寄った。このW・モリスについて我々4人は全く知らなかったのだが、彼の言もおそらく嘘ではないのだろう。確かにイギリスの田舎を代表するかのようにのどかな風景が広がる村で、一日中雨であったのもまた雅さを際立たせていたと思う。ここで我々は初めてフィッシュ・アンド・チップスを食べたのだが、とにかく量が多い。美味しいことは美味しいのだが、あの量は日本人には少々多すぎるようにも感じられた。
夕方ポーツマスからフェリーに乗って次の日の朝にはすでにフランスであった。1時間ほどバスに揺られてモン・サン・ミシェルに到着。多く聞く旅行パターンとは、パリに来てから日帰りでモン・サン・ミシェルまで向かう、というものだが、それに比べると今回の旅行は効率良く各地を回れるプランだったろう。モン・サン・ミシェルやヴェルサイユ宮殿、ルーヴル美術館などは言葉で説明することも不可能ではないのだが、写真のほうがより雄弁にそれらの素晴らしさを語ってくれるだろう。友人M.N. が自分の旅行記〔上掲〕に付けた写真や、友人N.S. が筆者のこの文章に寄せてくれた写真を見てほしい。
『ナポレオンの戴冠式』
(部分、ヴェルサイユ宮殿、作者ダヴィッドが晩年の1822年までかけて完成させた二作目、1807年完成のほとんど同じ一作目はルーヴル美術館にある)
ルーヴルでは、鹿撃ち帽を買い写真を撮りまくっていた友人についての悲しい土産話がある。彼はニンテンドー3DSのソフト、「ルーヴル美術館音声ガイド」を購入したのだが(ルーヴルでは作品の音声ガイドに3DSを使用しているのだ!)、ホテルに戻ってパッケージを開けてみるとなんと中身は空であった。さすがに我々の加入した保険もそんなことまでは想定していなかったらしく、結局何の保証もなく彼は空のパッケージを持って帰国することになった。ルーヴルを見て回ってからサン・ルイ島でエスカルゴを食べ(前述の友人はこの旅行中よほどツイていなかったらしく、エスカルゴをファンタオレンジの中に落としてしまった)、ノートルダム大聖堂を見、ヨーロッパ最大のデパート、ギャラリー・ラファイエットへ向かった。特別ファッションに関心があるわけでもない男4人の旅であったから、店頭に並ぶコートやジャケットの値段を見て驚愕したのは言うまでもない(桁が1つ違うのだ。買えるわけがない)。結局中国人の女性店員が熱心に勧めてきた店で腕時計を購入した。
夕食は別に日本食が恋しくなったわけでもないが、「サッポロラーメン」。本音を言えばチャーハンと餃子は美味しかったが、麺は少々硬かった。そのあと凱旋門に登って夜のパリを眺めた(一日中パリを回って疲れきったあとにあの階段はきつい…)。最後の日は午前中だけ自由時間だったのでのんびりシャンゼリゼ通りを歩いた。途中入ったスーパーで万引き犯と間違えられたのはご愛嬌である。そしてシャルル・ド・ゴール空港から日本へ。
以上ざっと我々の簡単な旅行記である。大変楽しい旅行で、有意義かつ得たものも多かった旅行なのだが、筆者の個人的な心残りがあるとすればそれはやはり語学の面であろう。英語はもちろんのこと、フランス語履修者として日常会話程度のことは話せたのだが、それでもいろいろ足りない面が多いと感じられた。この 文章を書いているときも旅行中の英語、仏語会話でのちょっとしたミスを思い出すと恥ずかしく思うと同時にニヤリと笑ってしまうのである。次にヨーロッパに行くときまでにしっかり各言語を学んでおきたいものである。
(2014年5月12日公開)