パリの象徴となっているエッフェル塔の地下に、チケット売り場などの関連施設を増設するという計画がこのほど発表されました。この塔は、もともとフランス 革命100周年を記念して1889年にパリで行われた第4回万国博覧会のために建設されたもので、設計者ギュスターヴ・エッフェルの名を取ってエッフェル 塔と呼ばれています。建設当時はその外観があまりに奇抜だったため、賛否両論がありました。また、万博後には来訪者数も減ったことから、一時は取り壊され るという話もあったのですが、その後戦争が起こり、軍事用の無線電波をエッフェル塔から送信することになり、国防上重要な建築物ということになって、結局 現在に至るまで残っています。現在ではパリを代表するシンボルになっていて、1991年にこの塔を含むパリのセーヌ川周辺が世界遺産として登録されまし た。今回の関連施設も、エッフェル塔とトロカデロ広場、エコール・ミリテール(旧陸軍士官学校)がセーヌ川を挟んで並ぶ景観を守るために、地上ではなく地 下に建設することになったそうです。増設部分は地下2階建てで、チケット売り場のほか、エッフェル塔博物館や子供用スペースなどの観光客向けの施設が入る 予定です。フランスでは、1980年代後半にも、当時のミッテラン大統領が「グラン・プロジェ」と称してパリの巨大改革プロジェクトを立ち上げ、ルーブル 美術館のガラスのピラミッドやラ・デファンス地区の新凱旋門、アラブ世界研究所などの建設を一斉に手がけたことがあります。その時私は、パリという街は、 歴史や伝統を重んじながらも、必要とあれば大胆に手を加えることも厭わないのだなと思ってある種の感慨を覚えたのですが、今回のエッフェル塔に関する計画 にもパリのそんな一面が現れているような気がしました。(2012.6.25-2012.6.29)
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