広島・長崎への原爆投下から67年の歳月が流れ、今年も平和を祈る夏が巡ってきました。今年も広島市では8月6日に原爆死没者慰霊式・平和祈念式が開催され、長崎市では8月9日に原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開催されます。それに先立って、在日フランス大使館は8月2日、今回の両式典にフランスを代表してクリスチャン・マセ駐日大使が出席すると発表しました。核保有国であるフランスは、2010年の両式典に臨時代理大使が初参列しましたが、大使本人が出席するのは今回が初めてです。同大使館はその理由を「広島・長崎のすべての原爆犠牲者を追悼すると同時に、核軍縮の目標をはじめ、核不拡散条約(NPT)で掲げられた全目標が達成できるように、より安全な国際情勢に到達する意思を改めて明確にするため」と説明しています(原文はこちら)。なお広島市によると、同じく核を保有する英国の駐日大使も初めて参列する予定です。昨年の東京電力福島第1原発事故以降は、核兵器の問題が原発の問題と結び付けて論じられることが多くなりましたが、今回の式典で両市の市長が読み上げる「平和宣言」のいずれにも、将来のエネルギー政策に関する政府への要求が盛り込まれるそうです。私たちは昨年の原発事故から、核兵器を持たない日本に住んでいても、核の危険とは常に背中合わせであることを、あまりにも大きな代償をもって学びました。66年を経て奇しくも2度にわたって原子力による惨禍を経験せざるを得なかった私たちだからこそ、国際社会に向けてメッセージを発信し続けならない責務があるように思えてなりません。今回の駐日大使の平和式典出席についても、これを主要核輸出国としてのフランスの変化の兆しと見てよいのかどうか、しっかり見極めていかなければならないと思っています。(2012.8.4)
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