全仏オープンテニス 2013 Roland-Garros 2013

全仏オープンテニスが5月26日(日)から6月9日(日)まで、フランスのローラン・ギャロス スタジアム(Stade Roland-Garros)にて開催されています。(このスタジアムは、パリの西の郊外に位置する「ブーローニュの森(Bois de Boulogne)」の隣にあります。) この全仏オープンはこのスタジアムで毎年5月末から6月初めにかけて行われ、全豪オープン(1月後半)、ウィンブルドン(6月最終(もしくはその前週の)月曜日から2週間)、全米オープン(8月の最終月曜日から2週間)と合わせて、テニスの世界4大大会(グランドスラム)の一つに数えられています。この世界4大大会を1年のうちに全て制覇することを「年間グランドスラム」と呼び、2年以上かけて全て制覇することを「生涯グランドスラム」と呼びます。

この全仏オープンは、世界4大大会の中でも最もおしゃれな雰囲気が漂う大会で、ボールボーイやアンパイア(審判)の服装、さらに観客の装いまでフランスならではのエスプリがいたるところにきいています。また、この全仏オープンは4大大会で唯一、クレー(赤土=レンガの粉)コートを利用することでも知られており、目に鮮やかな赤色のアンツーカ(en-tout-cas)と呼ばれるコートで、色とりどりのテニスウェアをまとった選手たちが熱戦を繰り広げます。毎年の大会は展開が波乱に富んでいて、上位シード選手の早期敗退が多いことから「赤土には気まぐれな神が棲んでいる」と評されることも多いです。技術だけでなく、強い精神力が勝敗を左右する、最も過酷なトーナメントとも言われる大会です。

この全仏オープンの男子シングルスでは、2010年から2012年まで3年連続で、ラファエル・ナダル選手(スペイン)という方がチャンピオンになっておられまして、今回はこの方の4連覇がかかっています。この方は2005年から2007年にかけてクレーコート81連勝という全仏オープンでの最多記録を達成され、土の王者の異名を取っておられる方です。ただ、昨年のウィンブルドンの2回戦で敗れた後、ひざの怪我が悪化して約7カ月にわたって試合を離れておられたのですが、今年の2月に復帰されて、4月からは得意のクレーコートでの試合で3連勝中です。

一方、女子シングルスで注目されているのは、昨年全仏オープンで初優勝されたマリア・シャラポア(ロシア)という選手です。この方は17歳でウィンブルドン初制覇後、18歳で世界1位に上り詰め、19歳で全米を制し、20歳で全豪でも優勝されたのですが、この全仏だけは鬼門でどうしても最後まで勝ち残ることが出来ずにおられました。しかし25歳の昨年、ついにその悪しきジンクスを跳ね返して全仏でも頂点に立たれ、見事生涯グランドスラムを達成されたのです。今回はこの方のタイトル防衛がかかっています。この方は昨年7月のロンドン五輪では銀メダルを獲得され、閉会式ではロシア選手団の旗手を務められましたので、その映像をご覧になった方もおられるでしょう。

さて日本からは、男子シングルスには錦織圭、添田豪、女子シングルスにはクルム伊達公子、森田あゆみ、土居美咲という全部で5名の選手が出場されていましたが、添田選手、クルム伊達選手、森田選手、土居選手は残念ながら皆1回戦で敗退してしまいました。しかし錦織選手は健闘目覚ましく、この文章を書いている6月2日(日)現在で、日本男子では75年ぶりに男子シングルスの3回戦を突破され、4回戦に進出、16強に入られたというニュースがテレビや新聞を賑わせております。日本でこの全仏オープンは、毎年序盤こそ華々しくマスコミで取り上げられるものの、日本選手が次々と敗退していくにつれ次第に話題にされなくなり、最終日に新聞の片隅に結果だけが小さく掲載されるというパターンが多く、いつも複雑な思いで見ております。今年も最終日まで残すところあと1週間となりましたが、錦織選手にはぜひ1試合でも多く勝ち進んでいただきたいと思っています。

全仏オープンテニス 2013の公式サイト(フランス語)はこちらをどうぞ。

カテゴリー: フランコフォニーの手帖 Les cahiers de la Francophonie (par フランス語科教員) タグ: , パーマリンク